人事評価の極意~稼げる人材へ

ビジョン実現型人事評価制度とは、経営計画書に直結する人事評価制度を構築、それぞれの制度の運用を仕組み化した上で、人材育成を通じて将来のビジョン、経営目標の実現を目指すものです。

経営ビジョン発表会で社長の意志を伝える
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経営ビジョン発表会で社長の意志を伝える

4Cで社員の心を掴む

4Cを満たした『経営ビジョン発表会』

マーケティングの基本である4P(Product(製品)、Price(価格)、Promotion(販売促進)、Place(流通))はご存知の方も多いと思います。

1960年に提唱されたもので、売り手側の視点に立ったマーケティング手法といわれています。

一方、4Cは1990年代に出てきた考え方で、より顧客の視点に立ったマーケティングの切り口といわれています。 (さらに…)

失敗しない発表会の進め方

下準備で伝わり方が違ってくる

では、『経営ビジョン発表会』の手順をできるだけ具体的に話していきたいと思います。

架空の企業(ラッキーライフ(株))で導入・実践・成功したという流れで話を進めていきましょう。 (さらに…)

開催場所も重要

これも前準備に入りますが、発表会を開催する場所も適切なところを選びましょう。

社内の場合は、会議室や通常のオフィススペースをそのまま使います。

社外の場合は、ホテルや会議室を借りて行うことになるでしょう。 (さらに…)

伝えるポイント

(1)開会の挨拶

まずは、社長の「開会の挨拶」から発表会を始めます。

ここでは、開会宣言と発表会を開催することになった経緯やきっかけ、これから取り組むビジョン実現型人事評価制度にかける社長の思いと社員へのメッセージを伝えます。

「経済環境や業界の激変により、このままだとうちの将来も不安だらけである。みんなにも危機感を持って欲しい」「先が読めない状況だからこそ、ビジョン経営が必要だ。これからは、これから発表する経営計画書に基づいて、自分が何をやるべきかを主体的に考えながら仕事を進めて欲しい」「これまでは、会社の方向性を明確に打ち出せずにいて、申し訳なかった。みんなの将来の幸せのために、ベクトルを合わせて理念とビジョンの実現に向けて一緒に取り組んでいこう!」

このような感じで、社員が『経営計画書』にできるだけ興味を持って聞いてもらえるような姿勢を作って、メッセージを伝えるとよいでしょう

。日頃こんな話をしていない社長は、社員がちゃんと受け入れてくれるかどうか不安かもしれません。

でも、これまで伝えてこなかったからこそ、社員は期待を持って聞いてくれるものです。

自信を持って取り組みましょう。

(2)経営計画書について

タイムテーブル表では外部のコンサルタントが担当になっていますが、社長から経営計画書の意味合い、位置づけをわかりやすく解説しておきます。

経営計画書という言葉だけで、お堅いイメージを持つ社員がほとんどです。

「そんなことはないんだよ」ということを伝えておきます。

「経営計画書とは、当社が『いつ・どこへ・どんな方法で』行くのかを明確にしたものです。今日はこの3点を意識しながら聞いて、それぞれをなんとなく把握できれば十分です。長丁場になりますが、リラックスして聞いておいて下さい」ここはまだソフトに伝えましょう。

(3)ビジョン実現シート(経営計画書の発表)

項目ごとに番号が振ってあり、基本はこの順番で発表していきます。

  • 経営理念:ただ読み上げるだけではなく、なぜこの経営理念を定めたのか、その経緯や社長の思いを存分に語ります。
  • 基本方針/経営姿勢:会社の基本的な方向性、顧客や商品や地域社会に対する考え方をさします。通常、5~7項目程度を作成する場合が多いのですが、それぞれなぜそのような考え方が必要なのかを説明した方がよいでしょう。
  • 行動理念:経営理念、基本方針/経営姿勢を実現するため、社員に求める行動、考え方の指針です。それぞれの行動理念がどれに繋がるのか、なぜ必要になるのかを解説しながら伝えましょう。
  • ビジョン:通常5年後の『定量ビジョン』と『定性ビジョン』を明確にしていきます。ずばり「ここを目指していくぞ!」とシンプルに伝えた方がインパクトもあってよいでしょう。例えば、「2020年の売上10億円を目指す! その時、○○地区で売上、利益、顧客満足度ともダントツのナンバーワンだ!」
  • 事業計画:細かい数値まで伝えようとすると、それだけで2~3時間かかってしまいますから、ポイントとなる数値のみを伝える程度でよいでしょう。具体的には、売上高、売上構成、営業利益、出店や事業所拡張計画、社員数を根拠とともに伝え、「細かいところは後でじっくり見ておいて下さい。質問があれば遠慮なく聞いて下さい」と結びます。
  • 経営戦略:経営戦略は、ビジョン実現シートでは『別途経営計画書参照』として、経営計画書の中に記載します。そこで、経営計画書を見てもらいながらの説明になります。通常、経営戦略は分野ごとに分類して表現されています。幹部が自分の受け持ちの戦略を発表するのが理想です。営業部長から顧客戦略と営業戦略、商品部長から商品戦略といった具合です。もちろん、10人未満で取締役や部門運営を任せている社員がいないという会社は、社長が全て発表します。ここも戦略全てを読み上げるのではなく、分野別に核となる戦略をなぜそのようなことが必要なのかを重点的に話すようにして下さい。その場で全ての戦略を頭に入れて帰るのは不可能ですので、会社ビジョンの実現に大きく影響する戦略を浸透、意識させていく工夫をしましょう。
顧客戦略 よりお客様目線に立ったサービスを提供することによって、多くのお客様に笑顔と感動を届ける
顧客ターゲットや管理、既存客育成の仕組みを明確化 *他社には真似できないPOP、DP、プロモーションなどのお店作りを実現し、「ラッキーライフはいつ来ても楽しいよね」と思っていただけるような圧倒的なファン作りを推進する*温かみのある接客、サービスで迎えることで、お客様がワクワク感をもってご来店していただける楽しいお店作りを実現する
営業戦略 常に時代の先を行くサービスを独自のスタイルで企画・実践し、地域を活性化
営業やマーケティングの仕組み・仕掛けを明確化 *情報発信ルールの確立(メルマガ配信、オンラインショップなど)、内容の充実を図り、お客様へいち早く情報をお届けすることで、流行発信源としての地位を確立、更なる認知度アップ、売上拡大を目指す*年間イベント・企画を計画的に立案、実行、推進し、更なる集客とファン作りと地域ブランド化を図る
商品戦略 化粧品とギフトの徹底強化とオリジナル商品開発、デザイン力のアップ
商品開発の方法やコンセプト、品質向上への取り組みなど *今まで以上に化粧品を強化することで、地域での化粧品の圧倒的地位を確立し、お客様に「化粧品を買うならラッキーライフ」と思っていただけるような店舗展開を実現する*独自のヒット商品、または他店にないオリジナル商品の開発・育成に取り組み、メディアに先駆けてオリジナルヒット商品を生み出している現状をお客様に伝え、ブランド化と信頼に繋げる

*お客様のイベントの場での感動をお手伝いするため、個性的で他社が真似できないギフト提案と接客で、「ギフトはラッキーライフ」というブランドの定着を目指す

人材戦略 理念、方針に基づいた組織運営・教育システムを確立し、人材育成のスピードアップ
人材育成や教育への取り組み、人事評価制度の仕組みはここで明確化 *スタッフクラスの教育制度、マイスター制度、店長、マネジメントクラスの徹底教育、育成を今以上に充実させ、スタッフの知識や接客、POP、DPなどのスキルアップを図り、自ら考えて行動できる人材、マネジメントを任せられる人材を育成し、1人ひとりがやりがいのある、お客様もスタッフもファンになれるようなお店作りを実現する*今後の店舗展開を見据えた採用システムを確立し、次世代を担う人材を発掘、育成ことで他社に負けない、より強固な組織を構築する
システム・財務戦略 社内情報伝達ルールと在庫管理ルールを確立し、より健全な店舗展開を実現する
システム関連、財務・会計などの仕組み *商品管理、在庫管理ルールを確立。全員で徹底して取り組むことで、在庫回転率をアップさせ、適正在庫の実現を目指す。*財務、資金繰り状況を前もって把握できる仕組みと体制を確立し、できるだけ借り入れを前倒しして返済、余裕を持った将来への投資や出店ができる財務体質を築く
  • 現状の人材レベル:ここは伝え方に要注意です。社員の強み(良いところ)と弱み(課題・問題点)をまとめてあります。特に弱みの方に敏感になりやすく、「社長は自分たちをこんな風にしか見ていなかったのか」と感じる人が出てくるかもしれません。対策は、「ここに列挙してある『弱み』は、全員ができていないというわけではありません。一部の人ができていないことも、問題点として感じられるものは全て明記しています。私(社長)自信の問題点も含まれています。皆さんと一緒に課題として取り組んでいきたいと思います」などと言いましょう。
  • 5年後の社員人材像:5年後の事業計画を実現するために必要な人材像を、なぜそのようなレベルが必要なのかを簡潔に伝えましょう。
  • ギャップを埋めるための課題:『現状の人材レベル』と『5年後の社員人材像』との間のギャップのことです。特に重要になるスキルや役割について解説しましょう。ここも細かく解説する必要はありません。しかし、『評価基準の内容にも反映』してきます。
  • 人事理念:ビジョン実現型人事評価制度を導入するにあたり、非常に重要なものになります。ですから、内容となぜ人事理念を定めることになったのかの背景を話しましょう。
  • プロジェクト・コンセプト:プロジェクトそのものの目的、ゴールのことです。ここが社員にとって魅力的でないと、一緒にプロジェクトを推進していこうとはしません。プロジェクトを運用・推進していく中で、何をどのように実現していくのかをしっかり伝えましょう。

(4)プロジェクトを成功させるためには

ビジョン実現シートと経営計画書を発表しただけで終わりではなく、ビジョン実現型人事評価制度の内容や目的、社員の役割などの話をします。

『5年後の社員人材像』実現に向けた研修の第1弾となるでしょうか。

手順は【プロジェクトで目指す組織→そのために社員に求められること→人事評価制度の目的、役割→人間が成長するために必要な考え方、原理・原則】となります。

(5)社員の決意表明

社員から、会社のビジョンを聞いた感想と、自分自身の決意表明をやってもらいます。

(6)ジョブ・ヒヤリングシート作成のお願い

発表会の次のステップは、評価基準作りの情報収集です。

記入方法を説明し、提出期限を設定します。ジョブ・ヒヤリングシートの目的は3つあります。

「評価基準作りの情報収集」「社員それぞれがどのように仕事を整理、把握しているのかを知ること」「全社員にプロジェクト参加への意識付け」です。

(7)今後のスケジュール

今後推進していく人事評価スケジュールの表を配って説明します。

それぞれの制度がいつできあがり、どのように運用していくのかを確認しておきましょう。

また、評価基準作りのプロセスから、各部門リーダーにもプロジェクト会議に入ってもらいます。

この件も明確に伝え、プロジェクト上のリーダーの重要性を徹底しておきます。

(8)閉会、今後に向けて

通常、社内ナンバー2の人に担当してもらいます。

締めの言葉ですから明るく、元気よく「一致団結して取り組みましょう! 皆さん、1人ひとりの意識が揃えば、目標は必ず達成できると確信しています。全員の力が必要です! 協力をお願いします!」という風に、意欲が高まるような言葉で締めくくりましょう。